多種多様なデザインが特徴的なのれんですが、そのデザインに仕上げるための染め方は色々あります。
昔ながら染め方の場合は色の薄い生地を用いて、デザイン上の薄い部分はそのまま残し、それ以外のところに濃い色を重ねていくという流れです。
その薄い部分には蝋を浸透させ、染料が染み込んでしまうのを防ぎます。そして実際に色を乗せる際には、広い部分は刷毛、細かい部分は筆と使い分けをします。
その他にも、生地を縛ったりねじるなどで染料が染み込む範囲を限定して独特な模様を作ったり、化学反応を用いて色を染み込ませるなど様々な方法があります。
もちろんそれぞれ仕上がりの雰囲気や完成するまでの期間、費用が異なってくるので、最適なものを選択することが大切です。
また、現代ののれんでは伝統的な染め方の他に、印刷技術を使用したものもあります。
コンピュータ制御された機械を用いるため、複雑なデザインでも簡単に出力できる方法です。
その場合は生地の内側に染料を浸透させるのではなく、表面に乗せる形になることがほとんどです。
そのため裏側に移るのを防げる可能性が高いということなので、両面で異なる見た目ののれんにしたい場合に適しています。
事業で使用する場合は法律に注意
一般的な家庭などで使用する暖簾には関係のないことですが、事業で使用する場合には防炎消防法に注意しなければなりません。
不特定多数の人が出入りするような場所で万が一火災が発生した際に、炎が燃え広がるのを防ぐことを目的とした法律です。
その対象となるのは大型の百貨店や劇場など色々あり、その中には飲食店も含まれます。
具体的には防炎加工を施した製品を使用しなければならず、場合によってはそれが義務付けられています。
そして劇場で使用する暗幕や工事の保護カバーなど対象は幅広く、特に暖簾に限ったことではありません。
いずれにしても防炎消防法の義務の対象となっている場所であれば、防炎加工が施してあり、なおかつその認定を受けたものを使用する必要があります。
一定の基準を満たせれば防炎シールを張り付けることができ、それが法律を順守している照明になります。
つまり自分で加工をするだけでは不十分で、すでに加工されているものか、シールを張り付けられるところに依頼する必要があります。
暖簾の場合はあらかじめ基本の形を他と変わらない素材で作っておいて、後から防炎性能を付加できる専用の薬剤に浸すことが多いです。